清算値段の基準日: 2026-10-02 | 最終更新: 2026-10-04 19:50 JST(毎営業日 自動更新)

デルタヘッジとは — コールを買って先物で打ち消すと何が起きるか(ガンマトレード)

コールを買うと、日経平均が上がれば得、下がれば損をします。 この「上がるか下がるか」のリスクだけを、先物の売りで打ち消すのがデルタヘッジです。 打ち消したあとに残るのは、「どれだけ動くか」による損益です。 これを狙う取引をガンマトレードと呼びます。

まず、デルタとは

デルタは「日経平均が1円動いたとき、コールの値段が何円動くか」です。 現値に近いコールのデルタはだいたい0.5で、日経平均が100円上がるとコールは約50円上がります。 つまりコール1枚を持つのは、先物を半分持っているのと同じです。

そこで、先物を半分だけ売れば、上がっても下がっても損益がほぼ動かない状態になります。 日経225オプション(ラージ)1枚の半分は、日経225mini(ラージの10分の1)の5枚に当たります。

例: コールを1枚買って、2日間デルタヘッジする

2026年11月限(残り42日)の68,250円コールを使います。今日の清算値段は2,505で、日経平均は68,309円です (この値段から逆算したIVは26.8%)。 日経平均が1日目から2日目に1,000円上がり、3日目に元に戻ったとします(IVは変わらないと仮定)。

日経平均コールの値段コールのデルタその日の操作先物の持ち
1日目(買った日)68,309円2,5050.52 コールを1枚買い、miniを5枚売るmini 5枚売り
2日目69,309円(+1,000)3,0290.59 デルタが増えたので、miniをさらに1枚売る(高いところで売る)mini 6枚売り
3日目68,309円(−1,000)2,4450.52 デルタが戻ったので、miniを1枚買い戻す(安いところで買う)mini 5枚売り

ポイントは2日目と3日目の操作です。上がったときにデルタが増えるので先物を売り足し、 戻ったときにデルタが減るので買い戻します。 ヘッジを続けるだけで、自然に「高く売って安く買う」ことになります。

2日後(日経平均が元の68,309円に戻ったとき)損益
コール(1枚・ラージ)-59,609円
先物(mini)の売買+100,000円
合計+40,391円

日経平均は元の値段に戻ったのに、先物の売買で+100,000円が残りました。 一方、コール自体は2日分の時間が過ぎたぶん-59,609円になっています。 ヘッジをしなかった場合は、上がって戻っても、2日間まったく動かなかった場合と同じ-59,609円で終わります。 ヘッジしたことで、動いた分が+100,000円の利益として残ったわけです。

つまりデルタヘッジしたコールの買いは、方向には関係なく「動けば得、動かなければ損」という形に変わります。 下がって戻った場合も、下がったところで買い戻し、戻ったところで売り直すので、同じように利益が残ります。

参考までに、直近60営業日で日経平均の終値が前日から1,000円以上動いた日は60日中20日、1日の平均の変化は878円でした。

この性質の名前: ガンマとセータ

デルタヘッジしたコールの買いは、デルタ(方向)を消して、ガンマ(動きの大きさ)を取り、その代わりにセータ(時間)を払う取引です。 1回の動きで残る利益は、おおよそ「½ × ガンマ × 動いた幅の2乗」で、動いた幅が2倍になると利益は4倍になります。

コールを売ってデルタヘッジすると: すべて逆になる

コールを1枚売り、先物(mini)を5枚買ってデルタを打ち消すと、損益はちょうど反対になります。

つまり「動かなければ得、大きく動けば損」です。証券会社などのディーラーはこの側に立つことが多く、 そのヘッジの売買が相場の動きを大きくすることがあります。 当サイトでは、その向きをガンマエクスポージャーとして毎日推定しています。

結局、どちらが得なのか — 「デルタヘッジは儲からない」と言われる理由

上の例で分かるとおり、コールを買ってデルタヘッジしたときの損益は 「実際にどれだけ動いたか」と「コールを買った値段(IV)が見込んでいた動きの大きさ」の比べ合いで決まります。 IVが見込んだより大きく動けば買った側、小さければ売った側が得をします。

当サイトの日経VIのページで、各日の日経VIとその後20営業日に実際に動いた大きさを比べると、 896営業日のうち688日で、日経VIのほうが大きく、差は平均2.4ポイントでした。 オプションは平均すると、実際の動きより少し高い値段がついていたことになります。 買ってデルタヘッジする側が「儲からない」と言われるのはこのためです。

ただし、実際の動きがIVを大きく上回った時期もあり、そこでは買ってヘッジした側が利益を上げています。 売ってヘッジする側は平均では有利でも、急変の局面で大きな損失を抱えます。 どちらかが常に有利ということはありません。

実際にやるときの論点

コールの買いの損益図

上の図は、ヘッジをしない場合のコールの買いの損益です。 計算はブラック・ショールズ式で、IV・金利は一定、手数料は含みません。

関連: 戦略一覧 ・ ストラドル・ストラングル

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